「根の活力と根圏微生物」からの多大ななる影響
「生の有機物を投入するかしないか??」という質問を投げかけられることがありますが、うちは栽培過程で生の有機物を土中に投入することは基本していません。
理由はいくつかあるのですが、最も大きな理由は、「未熟有機物の土中投入は、土壌の微生物層に与える悪影響が大きいのではないか??」と考えているからです。
体験的にも情報的にも理想的にも、そう考えるようになった理由は色々とありますが、最も影響を受けたものをあげるとするならば、就農当初に何度も読み返した、小林達治先生の著作、「根の活力と根圏微生物」になることは間違いないでしょう。
この本では、根と微生物のきってもきれない深い関係性についてのことが、様々な角度から科学的に説明されていて、施用有機物ごとの微生物郡の変動傾向が紹介されていたり、残根が存在する連作土壌と非連作土壌の微生物数の変化を追った比較データなども紹介されていたりします。
僕がまだ10歳にも満たない頃に発行された本ではありますが、この本には、僕が農業を初めてからずっと考え続けている、理想的農業像のヒントが沢山詰まっているような気がしています。
と、言われても、「僕が本に影響を受け、生の有機物を投入することを控えている」という部分に対しての直接的なイメージがわかないと思いますので、「有機物利用の基本」という章の一文を引用したいと思います。
(まず、未熟有機物の施用はやはり危険が大きいという点である。フザリウムなどの有害菌は一般に有機物の分解力が大きく増殖力も強い。放線菌のような有益菌と比べると3倍ぐらいの早さで増殖する。しかも、エサがなくなると厚膜胞子となってほかの微生物に食べられにくい形で土に存在しつづけようとする。
病害の種類によって、あるいは黒ボク土のような放線菌が多い土壌では、未熟有機物を施用してもすぐに土壌病害が発生するということはないかもしれない。しかしそれもつみ重ねてゆけば、有害菌が蓄積されてゆくことは大いに考えられる。連作の場合はなおさらである。)
つまり、「畑に微生物を増やして良い畑にするぞー」といってただ有機物を入れさえしていればいいという訳ではなく、その土壌に病原性の高い菌が多ければ、その投入有機物は、かえってその菌を増殖させる為の行為になってしまう可能性もあるということです。
この本には、その辺りの対策方法についても丁寧に書かれていますので、ご興味ある方は是非読んでみてください。
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