イエバエがすごい









Blog内で度々、食料問題や環境問題の解決に向かって奮闘する企業やプロジェクトの記事を紹介させてもらっていますが、今日のBlogもそのシリーズになります。



同じ食糧問題に対するアプローチでも、色々な切り口やアイデアがあり、農業的な視点で見ても興味深い取り組みも多いものです。



また、食料、環境問題系は個人的にも興味深いトピックなので、備忘録も兼ねて、これからも定期的にBlogに記録していこうと思いますので、ご興味のある方は農園日誌と共に是非ご覧くださいませ。





今日は「ハエの力で有機廃棄物を肥料に生まれ変わらせ、その幼虫を飼料にする」という超効率的な循環型システムを事業化した注目企業の記事の紹介です(記事、下記リンク)




https://wired.jp/waia/2018/06_mitsutaka-kushima/





下記、()内は本文中の一文になりますが、農業者にとっても興味深い内容ではないでしょうか??




(世界中で発生する大量の畜産ふん尿のほとんどは、微生物による発酵堆肥化という処理がされています。これは通常2~3カ月、完熟堆肥にするには1年くらいかかります。しかも発酵プロセスにおいて温暖化ガスが発生し、完成した堆肥には硝酸態窒素という物質が入っていて、これが多すぎると土壌や水の汚染につながります。これに対してムスカのイエバエは1週間ほどで処理が終わり、しかもガスの発生量が99パーセント削減される。窒素分は幼虫が吸収するので、肥料からは硝酸態窒素が検出されません。


しかも、この肥料を使って野菜などを育てると、糖度の上昇や収穫量の増加、さらには土壌の微生物バランスの最適化や抗菌性といった効果が、大学との共同研究で実証されています。飼料には、成長促進効果や病気耐性を付与する効果があることがわかっており、肥料・飼料ともに安全性は立証済みです。これらはすべて、過去45年かけて1,100世代にわたって品種改良を続けてきたイエバエによって可能になった、というわけです。)




45年かけて1100世代にわたる品種改良…なかなか壮絶なものです…。




しかし、その膨大な時間をかけて研究されてきたことは、未来への可能性を感じさせる、素晴らしい仕組みの発見につながったのではないかと思います。



堆肥化のスピード感、検出されない硝酸態窒素、飼料に変わる分解者たち、排出されない分解時ガス、普通に考えてすごい話だと思いました。


硝酸態窒素のことは、こういう問題に関心の高い方であればご存知だとは思いますが、「水質汚染に対しての基準値は設けられているものの、野菜に含まれる濃度に対しての基準値は日本では設けられていない」ということがしばしば問題視されたりもしています。(EUだと基準値が設けられています)

ですので、その手の環境問題の視点で見ても、「検出されない硝酸態窒素」は、とても興味深いことなのではないかと思います。



僕は硝酸態窒素問題に対しては結構緩い考えを持っている方だとは思いますが、「人体にとっての悪影響になる可能性が高い」、と害扱いされることもある一方で、「亜硝酸はがんを抑制し、寿命を延ばす可能性もある」などという説もあったりするので、率直な感想として、イマイチよく分からないし、ややこしいったらありゃしないと思っています。




日常生活で僕らが普通に摂取している塩や醤油にも致死量はありますから、硝酸態窒素に関しても要は摂りすぎなければ問題はないのでしょうが、こと日本で流通している野菜に関してはそこに選択の余地は基本的にありませんので、その部分を個人でコントロールすることは容易ではありません。

また、国よって基準や認識が違うので、どう考えていったら良いのかが分かりづらいということも、問題をややこしくさせている原因の一つでもあるでしょう。


水質汚染に対する基準値が設けられているものであるのならば、EUのように、野菜にもある程度の基準値を設けていくことは当然のことなのかもしれないなーと思いつつ、そのオペレーションが加わることによって、農家やその関係機関の負荷は相当大きくなるであろうということも考えてしまったりします。

それでも、過剰施肥を防ぎバランスの良い施肥設計を行うことを前提としたシステム作りにつながる可能性も高いでしょうし、それが結果的に人々の健康や安心につながる材料にもなる可能性も秘めていることから、未来への投資として、制度設計は決して悪いものではないだろうと僕は考えます。




今回この記事を読んで、




「堆肥を効率よく大量に作れたとしても、堆肥の受け入れ所がないと循環も何もないと思いますが、その辺りもうまい循環法が考えられていたりするのだろうか??」




「外では検出されないほどに窒素を取り込んだイエバエの幼虫でできた飼料内の硝酸態窒素の量が過剰になりすぎたりしないんだろうか??」




「分解者がそのまま飼料になるというのはとても革新的ですが、人間の肉の消費量に対して家畜が要求するカロリー量を考えると、それをフォローできる割合はどの程度のものになるのだろうか?? そのエネルギー生産効率もとても気になる所です。」



などなど、素人なりの疑問点もあれこれ湧いてきますが、直感的に未来や夢を感じさせてくれる取り組みだと思いました。




機会があればいつか詳しくお話をうかがってみたいものです。

© 2013 kuboderafarm