久松農園、久松達央さんの新著作。「農家はもっと減っていい」
僕の恩師の一人である 久松農園 久松 達央さんの3作目の著作「農家はもっと減っていい、農業の常識はウソだらけ」が刊行されました。
先日、メールで発売日(今日)のお知らせをいただいたのですが、今日がくるのを楽しみに待っていました。
僕は久松さんの考え方が基本的に好きですので、夢中になって一気読みしてしまいました。
発売日に新書を購入し、その日中に読了したのは久しぶりです。
しかし、なかなかインパクトのある作品タイトルです。(カバー写真も(笑))
辛辣とも取れるような作品タイトルが示す通り、厳しいと思う人には厳しい内容もあるだろうとは思いますが、個人的には、優しく丁寧な言い回しながらも本質的な所にはちゃんと切り込んでいく展開に、柔らかさと鋭さの絶妙なバランスを感じました。
農業を取り巻く産業構造の問題や、多くの人が持っている農業に対してのイメージと実態との大きな乖離など、そもそもの構造が分かりづらく誤解が生まれやすい農業という産業を広い視点で体系的に説明してくださっているので、農業に携わったことのない人でも農業の全体像を理解しやすいのではないかと思います。
攻撃力高めなメッセージを、優しめな論調で的確なポイントに打ちこむというのは簡単ではないと思いますので、流石の洞察力と表現力だな~と僕自身も学びが多かったです。
規模は久松さんとは比べものになりませんが、僕の所にも就農相談がちょこちょこと来たりするので、「新規就農者はなぜ失敗するのか」の章はとても興味深く読ませていただきました。
有益な部分ばかりに寄りすぎず、歴史や時代性からの必然性、形式知化や再現性、ご自身の目で見られてきた数々の失敗例などなど、数々の情報を交えながら紡がれた言葉には説得力やリアリティーがあり、これから新規就農を目指される方にとっても参考になることが多いと思います。
と、同時に、今の農業経営にもやもやしている人にも刺さるメッセージが多いのではないかと思います。
■ イメージとはかけ離れた繊細な人間味。
文中で、30代後半~40代にかけては焦燥感に苛まれていたというようなことが書かれていましたが、僕が働かせてもらっていた頃の久松さんはそれを脱却した後だったのかな?? (多分久松さんが41歳??の頃にお世話になっていたと思います)
文中で書かれていた「ミスに怒鳴り散らして」というような印象は全くなく、スーパー優しい兄ちゃんみたいな印象しかないので、もしその時期にあたっていたのであれば驚きです。
また、かなり切実な体や心の悩みについても書かれていましたが、僕から見れば、屈強な男たちの生姜の掘り取り仕事に久松さんが恐怖感や劣等感を覚えたのと同じように、僕もあの頃の久松さんに対し「本当すげー人がいるもんだな~、グレードが全然違う」と思っていましたし、メンタル鬼強のスーパーマンみたいな印象をもっていたりしたので、大きなギャップを感じさせる現実だな~と思いました。
良い意味で、久松さんも普通の人間なんだよな~と感じ、そりゃそうかと我にかえった感じです(笑)
(当たり前のことなんですけど、尊敬している人や輝いている他者のことって、知らず知らずフラットに見えなくなる時があるんですよね。ポジティブハロー効果のマジックですかね。)