自然共生型農業の理論と技術
昨日、茨城大学農学部主催の「自然共生型農業の理論と技術」というシンポジウムにオンラインで参加しました。
保全農法の原則(土壌撹乱を防ぐ、地表を有機物で覆う、輪作や混作)を取り入れた農業の有用性が急速に世界中で認められ始めているというお話しや、そういった農法を普及させる為のアクションについてなど、個人的にも興味深いお話しを数多く聞かせていただきましたが、色々と考えさせられることが多かったです。
個人的には、保全農法が時代の流れ的にも親和性が高いことだというのはよく理解できますので、改めて不耕起や少耕起栽培のような農法に未来性やロマン性を感じました。
これからの自分の農業に当てはめて考えても、たまらなくワクワクします。
しかしその一方で、日本での生産農業として考えた時の具体例や現実性が今の段階では極めて乏しいということと、第一線の研究者や専門家でも「土壌を守りながら生産的な農業を維持していくこと」に対しての難しさを強く感じていることから、仮に保全農法のようなものが農業という形として日本で普及していくとしても、それはまだかなり先の話だろうな……と思いました。
農業としてみたらなおさらですが、明らかにモデル不足の分野ということもあり、利点の具体的なイメージも恐ろしくしづらい世界ですしね。(広がりづらい)
ただ、規模の大小は問わず、不耕起、少耕起栽培のようなものに魅せられ、アクションを始めている層が水面下で広がりを見せていることは疑いようのない事実であり、科学的な視点からもその有用性を確かめる為の研究が日夜行われ、今回のようなシンポジウムが行われたりもする訳ですから、これから課題を解決できるような前向きな材料も少しづつ増えてくることでしょう。
というより、増えてくることを願っています。
昨今、脱炭素という文脈でも土壌を劣化させない術を考えることの重要性が語られたりもしていますが、田畑で食べるものを育てながら「もしかしたら世界共通の大きな課題にも貢献できる可能性があるのかも??」ということを多くの人が想像できるのは良いことだと考えますし、前向きなことだなとも思います。
また、その取り組みがたとえどんなに小さな規模だったとしても、僕はそれをとても素敵なことだと思いますし、未来につながってほしい価値あるアクションの一つだと思っています。
今回のシンポジウムのお陰さまで、土に触れる時間が一層楽しくなりそうです。