露地トマトの管理

就農当初は「露地でトマトを育てるのってなんて難しいんだろう」と思っていましたが、ここ数年は大きな問題も少なく、栽培にも随分安定感がでてきたように思います。
また、年々気候条件にも大きく左右されなくなってきているので、今年みたいな雨続きでも平ちゃらです。
こういう成長の実感は素直に嬉しいです。
とはいえ、自分はまだまだ未熟ものですし、これからも成長できる可能性は無限に残されていますので、これからも貪欲に成長を追い求めようと思います。
それはそうと、数年もがいてきたトマト栽培になぜ安定感が出始めたのか??
せっかくですので、自分が今まで感じてきたことや抑えておきたいポイントに設定していったことを簡単に書いておきますね。
まずは、なんといっても品種。
うちのように太陽熱消毒もせず、土の表面に未分解の有機物がどっさりあって、基本深くまで耕していないような畑には、拮抗菌も含め、物凄い量の菌が存在しています。
そこには、弱い生物を排除するような自然界のシステムが容赦なく猛威を奮ってくることも多いので、環境がまだ整っていなかったり、弱い作物を植えてしまったりすると、やっぱりうまく収穫までたどり着けないことが多いと感じています。
そういう厳しい条件の中でも、しっかり生育をカバーしてくれるのが適正品種です。
もうここを見直すだけで安定感が劇的に上昇しますので、つくづく種苗技術やブリーダーの方々には感謝です。
品種は本当に色々な種類がありますが、誰にとってもマッチする品種なんてものがあるわけではないので、自分の課題や栽培法と照らし合わせて、自分にマッチしたものを考えていくとよいなと思います。
僕の場合だと、露地栽培のみなので、雨で裂果しづらいものを中心に、青枯、灰かびあたりに強いものを選ぶといった感じ。
(病気に関しては、畑や畝によって発生しやすいものの種類が変わったりするので、畑ごとの相性を考えながら植え付ける品種を検討、選別しています)
次に土質。
土質は、整っている所であれば、品種関係なしになんでもよく育てることができると感じています。
安定している土壌だと、病気も皆無ですし、裂果しやすい皮の柔らかい品種でも全然裂果しないとかもありますしね。
すべての畝をそういう土質状態にもっていくことができると一番よいのですが、それはそんなに簡単なことではありませんので、僕の場合は、「その理想を目指しつつも、基本品種選別で補っていく」という方法が、今の所、自分にとって最もしっくりきています。
土質は多少粘土だったとしても、マッチする品種を選べていればそれなりに育ってくれることも多いのですが、裂果に強いものも割れやすかったり、病気リスクがとても高いと感じているので、こういう場所では、超高畝にするなどの物理的な対策をとるに限りますが、それをしたとしても、整っている土質の畝に比べると、やはり生育不安定なことが多いです。
最後に管理方法。
トマトは通気性の確保がとても大切なので、あまり暴れさせないように整枝していったほうがよいとは思いますが、うちは中玉やミニに関しては、梅雨明け後はほぼわき芽を伸ばしっぱなしにすることにしています。 (大玉は株の様子を見ながらですが、マックス2本目安)
芽は多いほうが裂果も少なくなりますし、株がへたらなければ、かなり長い間多収量をキープできるので利点も多いと感じています。
(今の所、生育初期から放任するとあまりうまくいかないことが多いので、梅雨明けくらいを目安にしています。) 畑の周りを見渡せば、裂果対策でビニールをかけている方もいますが、僕から言わせれば、裂果対策だけだったら草を生やしておいた方がいいような気がします(笑)
まぁ、病気リスク軽減とか、味ボケが少なくなるなど、総合して考えるとビニールの利点もあるのだろうと思いますが。
(こういうのは、なにを重視するか?? ということでしかないので、それによって各々の手法があることはとてもよいことだと思っています。)
と、今の自分が抑えているポイントをざっと書き出しましたが、これはすべての人や環境に当てはまる訳ではありませんので、それぞれ参考程度に考えていただければと思います。
人の言うとおりに一度やってみることも大切なことだと思いますが、結局、自身の経験や発見や気付きの中からしか、本当に自分の納得できるものって生まれてこないと思いますしね。
それは、おそらくどんなことにでも言えることなのだろうと思います。