Style
(届けたいもの、手法、思い、理想など)
私たちは、農業生活の中で大切にしている感覚があります。
その主な部分を簡潔に表したものが、下記の「大切にしている6つのこと」になりますが、このページでは、「思いや理想、こだわり」の部分を簡単な文章で説明しています。
文章から、私たちの考える「大切にしている6つのこと」の意味やフレームをなんとなくイメージしていただけたら幸いです。
私たちが大切にしている6つのこと
旬を外さない
適正な気候で育ったものは、それだけで美味しいものです。
農薬は使いません
なくて農業が成り立てるのであれば、それに越したことはないと思っています。
採りたてを届ける
鮮度は野菜の美味しさを決める上で最も大切なものです。
極力、土を動かさない
手間はかかりますが、長い目でみて、土が豊かになる可能性が高いと考えています。
ゆっくり育てる
極力、栄養、水分は控えてゆっくり育てます。
虫や草も共に
生物の多様性が増すことにより、野菜が育てやすくなっていると感じています。
Message
私たちは畑や野菜のことがとても好きなので、多くの人にそれらの本質的な魅力をお伝えしたいと思っていることと、人が「美味しい!!」ということに幸福感を覚える場面に、素材提供という形でできるだけ多く関わりたいと思っています。
そういったことから、直販型の農産物の販売で消費者の皆さまとダイレクトに関わりあいながら農園を運営しています。
また、農園のテーマの一つでもある、大型機械を用いずとも成り立てる「人の力と少しの道具で完結できるシンプル&ミニマムな農生活」が、未来の農業or農的生き方の選択肢の1つとなれるような社会を夢見て、日々試行錯誤の農業ライフをおくっています。
かく乱、破壊、収奪ではなく、自然を尊重し、自然と手を取り合いながら共に進んでいけるような農生活に憧れていることから、原始的な生き方や老子の「無為自然」のような世界観に大きな魅力を感じていますが、その一方で、現代のユビキタスな社会の環境貢献性にも大注目しています。
そんな対極に存在するような価値観をうまく融合させられるような原始的ハイブリッド農業を目指して進んでいく中で、結果的にそれが、人にも環境にも社会にも優しい農業のモデルの1つとして幅広く展開できるようになったとしたら、それはとても幸せなことです。
その理想の未来を追うにあたって、まずは自分がそのビジョンに向かって実践し続けることと、その歩みを外側に発信していくことを大切にしたいと思っています。
私たちが魅せられている、植物の根と小さな生物が土を耕してくれることを前提に考えて進んでいく、自然の力を借りながら歩んでいく農業スタイルは、土壌世界の豊かさを効率よく最大化してくれる方法の1つだと個人的には考えています。
また、人間社会の持続性を高めてくれる可能性もあり、生物が生きることに欠かせない重要資源「土壌」の大きな劣化を和らげることにもつながるのではないかと思っています。
加速する多くの環境問題に対しても、自然や多様な生物と共存できる社会を人間が目指していくことはとても重要なことだと考えていますので、そういう側面からのアプローチ法としての魅力も感じています。
と、上記のような理想を持ってはいるものの、自然と人との関係性はとても複雑なものですので、あまり堅苦しいことは考えすぎず、環境への良し悪しなども計りすぎたりせず、「美味しい、楽しい、自然が好き」など、極シンプルな感情を多くの皆様と共有できるような農園であれることを一番に願っております。
園主 久保寺 智
旬の採りたて野菜を食べる喜びを
自分でお野菜を育てたことがある人はよくご存知かと思いますが、適正な気候条件の中で育った旬のお野菜を採りたてで食べることで、とても深い味わいを感じることができるものです。
私たちは、その深みのある味わいを、自分でお野菜を育てられる人や農家さんだけが楽しめる贅沢でなく、多くの人が気楽にご家庭で楽しめるようになってほしいという思いをもっていますので、「旬を丸ごと感じることができるお野菜の詰め合わせを畑からご自宅に直送させてもらう」という販売形態をとっています。
食べるものは人の体や心などの大元の部分を作ってくれるものですので、毎日の食の充実、満足は、日常にも大きな幸せを運んできてくれるものだと私たちは信じています。
私たちが手をかけたお野菜たちが、皆さんの健やかな日常につながる1つのきっかけとなれたら、とても幸せなことです。
採りたて野菜の価値は素材の旨味
旬の採りたて野菜の最大の価値は素材そのままの旨味や風味です。
焼いて塩をふる、ゆでてかつお節をふる、シンプルな食べ方で素材それぞれの個性を楽しんでもらえると嬉しいです。
また、鮮度の高い素材は、時間をかけてコトコト煮込んだり、凝ったお料理に使っても抜群の存在感を感じさせてくれます。
私たちの日々感じている、旬の採りたて野菜の濃厚で複雑な旨味を少しでも皆さんにお伝えできたら幸いです。
農業スタイルについて
自然界には沢山の生物が存在していて、草や虫や菌、様々な生命が複雑に絡み合って循環しています。
私たちは、その野生の中のダイナミックな命のやり取りに、より深く溶け合えるような畑仕事を行うことを理想としています。
その理想に少しでも近づく為に、私たちは「極力土を動かさず、栄養はなるべく畑の中の循環内で確保し、農薬を用いない」という農業スタイルをとっています。
トラクターなどの大型機械は入れず、小さな機械&手作業での畑仕事なので、大量に生産することには向かない方法ですが、多くの量を生産することよりも「自然を尊重しながら、自然と手を取り合って進んでいけるような農業をしていきたい」という、自分たちの理想を追求していくことを大切に考えています。
就農当初はなかなか苦しい時期が続き、「理想やこだわりを諦めなければならないのかも……」と思うこともありましたが、多くの皆様の支えや、ゆっくりながらも年々豊かになっていく畑の土や生物たちのお陰さまもあり、現在は、「自分たちの理想の農業をこれから先も追求し続けていける」という確信を持つことができるようになりました。
私たちは自然が大好きです。
また、心の底から尊敬しています。
今はその気持ちに正直に自分の日々の行動を選択できていますので、自分の心が十分納得している状態で、自分の信じる道(農業スタイル)を迷いなく進むことができています。
そのような状態に自分の身を置けているということや、日々の野良仕事を中心とした生活の充実感に幸福を感じています。
手作業に感じている価値
手作業で菜園を整えていくことで、畑に存在する1つ1つの命としっかりと向き合うことができます。
その濃密な触れ合いの時間は、とても野生味に富んでいて、私たちを激しく刺激してくれる 何ものにも代え難い素晴らしいものです。
私たちは手仕事のぬくもりがとても好きです。
絵、陶器、織物、料理…………多くのものに当てはまるような感覚がありますが、丁寧な手仕事からじっくり時間をかけて生まれたものには味や深みを感じられることが多いように思っています。
それは野良仕事自体や出来てくるお野菜においても当てはまるものなのだと思っています。
非科学的なお話しだと思いますし、そういう理屈に偏りすぎたくないとは思っていますが、その一方で、私たちはそういうものが持っている未知の可能性も信じ、大切にしていきたいと思っています。
作る人と食べる人がお互いに思い合える関係を
私たちの理想とする生産者と消費者の関係は
「作る人と食べる人が顔を合わせて話すことができ、そこには互いの信頼関係が存在し、互いが相手のことを思いながら作ったり食べたりできる関係」です。
ご縁をいただいた皆さまと、そのような関係を深めていくことを特に大切にしていきたいと思っていますので、いつもお野菜を利用してくださっている方や当園に興味を持ってくださっている方には、是非、農園の日常に直接触れてほしいと思っています。
私たちの思い、畑の風景、畑に植わっているお野菜たちなどなど、それらの生産プロセスの一端に直接触れるだけでも、食べるということに対する考え方や楽しみ方に 新しい広がりが出てくるものだと思います。
また、どういった所で、どういう人が、どういう風に育てているのかを知り、それを納得した上で食べるということは、食べるという行為に対する満足感や、より強い安心感にもつながりやすいという意味でも、とても大切なことだと思っています。
作る側も、食べる人の思いに直接触れることで、作る意欲やお届けさせてもらう楽しみも増していくものですので、お野菜を通じて ご縁をいただけた皆様と、少しでも多くお会いし、直接お話しできたら嬉しく思います。
なぜ、そのスタイルを選ぶ??
「なぜ、わざわざ手作業でやろうとするの??」
今のスタイルで農業をやっていると、多くの方からそのような質問を投げかけられます。
テーマやMessage欄に書いてあるような理想に沿っていった結果から選んでいるものではありますが、そこまで大げさな理由は一切なく、答えはとてもシンプルなものです。
・より野生的に自然と深く戯れられるような農業がしたい。
・自然との向き合い方を試行錯誤する中で見つけた、自分のお気に入りの生き方の形だから。
・今の農業スタイルで自分たちの未来を描き続けることを熱望し、それを可能にするファーマー像に心の底から憧れ続けているので、その憧れに向かってただひたすらに前進している。
と、いう感じで、今やっていることは、自分がやりたくてしかたがなくて選んでいることなので、毎日、「夢を追いかける少年のような感覚で、日々の農業ライフを楽しんでいます。
※上記のように、大げさな理由なく、心の趣くままに取り組み始めた現在の農業スタイルですが、数年取り組んでみた結果、経営的にも技術的にも高いパフォーマンス性に未来への大きな可能性を感じるようになりました。
哲学的、思想的なものは抜きにして、一つの栽培スタイルとして見ても理にかなっていることも多いので、そのような部分にも追求しがいのある価値を感じています。
多くの側面から楽しみを提供してくれる、とても素敵なテーマ(スタイル)に出会えたことに心から感謝しています。
大規模で、資材コントロール型の農業の発展も大切なことだと思いますが、「怠惰ではなく、良い意味で、人が自然環境にあれこれ手を出さずとも丸く収まるような循環力の高い農業」、私たちはそういう農業も農業の一つの生活スタイルとして存続可能性を持てるような未来を夢見続けていきたいと思っています。