イタドリの効能

晴れ日が続き、梅雨明けの発表も間近に迫り、いよいよ夏らしくなってきました。
その気候の変化に伴い、夏のお野菜たちも明らかに元気がでてきております。
夏は畑仕事にタフさを求められる季節ですので、動いて動いて体を使い倒したい派の僕にとってはとても良い季節になりますが、最近の夏は、身の危険を感じるような暑さの時もありますから、あまり体を使うことに夢中になりすぎないように気をつけたいと思います。
さて、今日はイタドリのお話をしようと思います。(手に持っている草です。)
イタドリは地下茎で繁殖する性質を持っている草ですので、刈っても刈ってもすぐに再生してしまうことから、「駆除が非常に困難な生物」として、畑では厄介もの扱いされることが多い生き物です。
放っておくと物凄い勢いで繁殖しますし、すぐに背も高くなる草ですから、畑の嫌われものになってしまう理由もよく理解できます。
ただ、そんなイタドリにも良い所は沢山あります。
まずは、山菜として親しまれ、天ぷらや和物などに利用されたり、古くから漢方などに使われることも多かったという歴史があるということ。
(今だったらジャムとかお茶とかにも)
次に、名前の由来に「すり潰して患部につけると痛みが取れることから、痛み取りが転じてイタドリとされた」という説や効能が信じられ続けてきたということ。
これを聞くだけでも、場所や時代によっては、物凄くありがたい存在の草として認識されていた、もしくは今もされている存在なのだろうと思えてきます。
また、現代の農業的な視点で見ても、草マルチの材料として優れているという研究結果もあるようです。
先月、現代農業の「有機物マルチ特集」を見たのですが、そこに、
「イタドリを刈り敷き(草マルチ)した植物には「病害抵抗性誘導」と呼ばれる現象が見られ、植物が病気にかかりづらくなるという効果が見られた」という記事がありました。
(静岡大学雑草学研究室の学生による研究データのようです。)
それだけではなく「イタドリを刈敷きした所のナスやトマトの糖度が高くなった」ということや「イタドリの刈り敷きでじゃがいもの連作障害が軽減される効果も認められた」という大変興味深い研究結果も記されていました。
うちの畑にはイタドリが結構生えてくるエリアがあるので、草マルチでイタドリを使っている畝もありますが、上記のようなことは最近まで全く知りませんでしたから、今まで何かしらの効果を見込んでイタドリ草マルチをしたことはありません。
そのようなこともあり、今後、イタドリ草マルチ畝上の変化や効果を観察していくという新しい楽しみが増えたことを大変喜ばしく思っています。
僕は、畑で邪魔もの扱いされてしまうような生物の良い所をなるべく探し出し、それらの生物と共に進んでいけるような農業を理想としているので、今回のような研究内容に勇気に似たようなポジティブな力をいただきます。
こういうことって意外に少ないので、とてもありがたいことだなと思っております。
それはそうと、今日、いつもお世話になっている方が高村光太郎さんの詩を送ってくださったのですが、そこに「悪きもの善きものの差別をたち」という言葉が書いてありました。
まさに、先に述べたような理想ってそんな感じのことだったりするのですが、そのメールをいただく直前にこの記事を書いていたので、「おぉっ!!物凄くタイムリー!!」と驚いてしまいました(笑)
まぁそんなものはただの理想論でしかないのかもしれませんが、その理想になるべく近づけられたら良いなと心から思い、僕は日々畑と向き合っています。