ミミズが侵略的外来種??
先日、いつもお世話になっている方から、興味深い記事が送られてきましたので、今日はそのことについて書こうと思います。
「ミミズは侵略的外来種、北米で昆虫に大きな被害の恐れ」というタイトルの、ナショナルジオグラフィックの記事になります。
記事の内容は、「北米の森の調査で、土壌と落葉に生育するミミズの数が多い区画ほど、地上の無脊椎動物の多様性と数が現象していることが確認された」ということについて語られているものになりますが、ご興味ある方は是非本記事(上記リンク)をご覧になっていただいてから、下記の僕の感想にも触れていただけると嬉しいです。
ご興味のない方にとってみたらこれはとても退屈なお話かと思いますので、その場合は、リンクにも飛ばず、そのままこの記事自体を閉じていただくことをオススメいたします。
長くなりそうな気もしますしね。
■ミミズは土を育む生き物。
ここからは、上記リンクの記事をご覧いただいていることを前提で文章を書いていきますので、どうぞご了承くださいませ。
まず、僕の農業にとって、ミミズはとても大切な生き物という位置付けになる ということから書いていきたいと思います。
それはなぜかというと、ミミズが畑にいると、有機物を作物が吸いやすいように細かく分解してくれると言われていますし、何より、ミミズが畑に存在しているだけで、人が農業をする上でもありがたい効果を土に与えてくれると言われているからです。
ミミズ博士・中村好男先生は
・食べる 〜 有機物の分解
・尿、ふんを出す 〜 肥料供給、土の物理性改善、殺菌作用
・動き回る 〜 土を耕す、孔を開ける
・死亡する 〜 死骸は最高の即効性肥料
というような、ミミズの生活が土に与える影響についてご紹介されていますが、それらを受け、日々のミミズの生活そのものが、農業をする上でも良い影響がありそうだということがうかがえます。
僕にはそれらの土の変化の詳細データを数値で取る術がありませんので、そのあたりの詳しい事実やメカニズムに関しては正直な所、よく分からないのですが、うちの畑でも、上記の効果らしいものを感じることは多々ありますので、「確かにそうかもね」と、とても納得がいっています。
また、現代農業に掲載されていた、中村先生の記事の中に、「ミミズの糞と飼育土の化学的性質」を図解したデータがありましたが、こちらのデータを見ると、より理解が進みます。
※現代農業2004.8「もっと知りたい、ミミズの話」より
■果たして侵略者であるのか??
記事内では、「元々ミミズの存在しなかったエリアに外からミミズが入り込んでしまうことにより、そのエリアの生態系が大きく乱れる可能性があるので、そういった場所には新たにミミズを持ち込まないようするべきだし、持ち込まれてしまった場所に関しては、もうこれ以上広げないように努めるべきだ」ということをおっしゃっていると解釈していますが、記事内の研究者、専門家間の意見をみていても、慎重派、深刻派、憂慮派 と、様々な見解があるくらいですので、「果たしてこの現象は生物社会にとって長い目でみてどうなのか??、ミミズは本当に侵略者になり得るか??」ということをいくら考えても、僕に分かるはずもありません。
僕はこの記事を見て、まず最初に、「歴史の中で、人や動物が移動したことにより生態系が大きく変化したケースなんていくらでも存在するよね??」というようなことを思いました。
例えば、セイタカアワダチソウは、アメリカの一部の州では州花として扱われているくらいの人気者ですけれど、人間の都合で日本に連れてこられただけなのに、日本では完全に悪者扱いされてしまっていることや、日本〜アメリカという逆パターンでは、葛とかもそうですよね。
家畜の餌として優れものだとか、地中の窒素を増やすとか、不毛の大地を復活させるとか、当時、環境的にもとてもポジティブな意味を含みながら日本からアメリカに渡った筈ですが、今や邪魔者&グリーンモンスター扱い。
オーストラリアの増えすぎてしまったウサギがもたらす土壌浸食や、近くでいうと、丹沢の保護したらしたで増えすぎちゃった鹿とかもそうなのだろうと思います。
人と自然の関係ってずっとこういうものなのだろうと思いますし、どのポイントで誰がどう見るかによっても、評価のされ方が変わっていくものなのだろうと思います。
また、結果的にそれが良いのか悪いのかなんて誰にも分からないというのは、上記の葛の例が示すとおりなのだろうと思います。
つまり何が言いたいかというと、人間も含めた自然サイクルの中で、たまたまミミズが北米にいってしまったのかもしれませんが、それも一つの自然現象ですし、「それは本当に侵略者っていうのかな?」 「もしかしたらそれが結果的に人間や自然にとって良い未来だと思えることにつながる可能性だってあるかもしれないのでは?」と思うということです。
人の動きも含めて自然現象ということを前提に考えていくと、今回のような北米ミミズが侵略者のおそれ??という危惧感情が出てくることもとても自然なことでしょうし、この危惧感情から何らかのアクションを起こし出そうとする人が出て、またそこから何かの結果が導き出されるというのも自然現象でしょう。
最近、何の話をしても結局いつもこういう所に帰結してしまい恐縮ですが、全部繋がっているし、あらゆることがなるべくしてそうなっている、としか言うことができません。
そんなことを言ってしまうと、もう何をやっても仕方がないという感じに捉えられてしまうかもしれませんが、決してそういうわけではなく、未来なんてどうなるか分かる訳がないからこそ、自分が「今はこれだっ!!!」と思ったことに向かって力を発動させることがとても重要なのだろうと思います。
最後に、僕はミミズはとても素敵な生き物だと思っていますし、自分の生活を支えてくれる存在だと今のところ思っていますので、侵略者で地球の生態系を破壊するやつだというのは、なんだかピンときていませんが、場所や状況によってはそういう可能性もあるのだろうと思いますので、なるべく謙虚な姿勢でその情報と向き合いたいと思っています。
ですので、本記事であげられているような研究をなさっている方々の活動をとても素晴らしいなと思いますし、こういう可能性の種を探り、その謎を解き明かそうとするという行為には大きなリスペクトをしています。
関連記事
すべて表示小松菜、水菜、かぶ、大根、ルッコラ、からし菜、青梗菜、四角豆、里芋、生姜、 ネギ、白菜、ピーマン、甘唐辛子、なす、ツルムラサキ、カボチャ、インゲン、レタス の中から7~10品程度 ※月頭時点での1ヶ月の収穫予定品目になりますので、途中でストックがなくなってしまうものや、後か...