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人糞尿を肥料に使うことは禁じられているのか??



先日、研修生との話の中で「人糞尿を肥料に使うことは禁じられている、という人もいる……」という話があがりました。


僕の認識では「んなことはないだろう」という感じではありましたが、実際に法律上どうなっているのかは知りませんでしたし、大変興味深かったので、禁止情報の発端と現行の法律がどうなっているのかを調べてみました。



まず禁止情報の発端から。


「法的にも禁止された」という確かな情報は見つけられませんでしたが、GHQの影響や寄生虫の流行経験から、未だにそういう認識を持たれている方もいるのかもしれないなと思いました。(下記 wikipediaから引用)





「ダグラス・マッカーサー率いるGHQは日本のサラダに人糞の細菌と寄生虫が多数混入していたため、日本政府に人糞肥料の中止を命じた。日本政府は「寄生虫予防会」を各市町村に作り、人糞肥料から化学肥料へと一大転換が行われた。しかし、1955年頃になっても学校の保健室には「よい子はなま野菜を食べないようにしましょう」といった表題のポスターが貼ってある状況だった。ただちに人糞肥料から化学肥料の使用へと完全移行した生産者は多くなかったのである。

肥料として用いる人糞は、そのまま使うと作物が根腐れするため、たいていは肥溜めに溜めて発酵させて利用する。ちなみに発酵中の物は非常に臭いが強く、さらに衛生害虫になるクロバエ類やニクバエ類、またカの中でも最も富栄養状態に適応したオオクロヤブカの発生源となるなどの問題があった。また、人糞肥料を媒介とした寄生虫の流行も問題となった。」


つい最近、寄生虫博物館で回虫の情報を取得していたので、とてもタイムリーな話です(笑)


で、現状の日本の法律上はどうなっているのか??、ということで、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」を確認してみました。

そうすると、




(ふん尿の使用方法の制限)
第十七条 ふん尿は、環境省令で定める基準に適合した方法によるのでなければ、肥料として使用してはならない。


と書いてありました。


なるほどなるほど。なんかダメっぽい雰囲気も。



で、次に、環境省令で定める基準というやつが何なのかを調べてみました(添付写真)


おっ、これを見ると、必ずしも禁じ手になっているという訳でもなさそう。



人の糞尿とは書いていませんが、し尿処理施設と書いてありますので、まぁ人の糞も該当するのだろうと思います。



しかし、(6)の「十分に覆土して」というのは解釈に大きな幅が出そうな表現です。


運用にあたっての留意点を調べてみても、「覆土には、耕土と十分に混和することを含むものであること」としか書いてありませんでした。



生の人糞尿だったとしても、土さえかけておけば肥料として畑にまいても全然大丈夫ともとれますね。



結構曖昧なものですね(笑)



まとめると、条件はあるにせよ、利用方法さえ守っていれば、人糞尿の肥料使用は法律上も禁止されている訳ではなさそうだということですね。


僕は別に人糞尿を肥料にしたいとは思っていませんが、「別に禁止されてはおらんだろう」と思っていたこともあり、なんだかスッキリしました(笑)



世の中の大多数の人は「騙してやろう」というような悪意を持って情報を流しているわけでもないと思いますし、自分も含め、人間は気をつけていても勘違いや解釈の齟齬が生じてしまいやすい生き物だとも思いますので、情報の歪みは何の世界でもおこることだとは思いますが、だからこそ、情報の出し手も受け手も、共有された情報について互いに再確認をし合うことが大切なのだろうと思います。


でも、小さな伝言ゲームでも驚くほど情報が歪んだりすることも多いので、それが社会規模ともなると、トンデモ情報みたいなものが生まれることの方がむしろ自然なことでもあるのでしょうけれど。




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■人の力と少しの道具で成り立つ、シンプル&ミニマムな農業をモットーに、農園を営んでおります。

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