太陽熱消毒だからって良いものだとは言い切れない。
この時期は多くの地域でそうなのかもしれませんが、ここ最近、太陽熱消毒を施している圃場をよく見ます。
僕は太陽熱消毒という技術はとても素晴らしいものだと思う反面、「有機農業的に見るのであれば極めて乱暴な手段である」と思っています。
なぜならば、その場所に自然発生的に存在している生き物の力を借りながら進んでいくのが有機農業の本質だと思うからです。
また、土壌消毒は「消毒薬でやろうが太陽熱でやろうが、土壌の生物を激減させてしまうということに変わりはなさそうだから」という理由もあります。
僕が尊敬している農学博士の西尾道徳さんも、現代農業の記事中で太陽熱消毒の問題点について指摘されています(添付写真)
「自然」や「天然」みたいなもので、「太陽の力」というパワーワードが、有益無害なものとしての認識を一層加速させているような気がしてなりませんが、これはソーラーエネルギーなどに当てはめても同じことが言えるような気がしています。
どういうことかというと、ソーラエネルギーも「環境にとって素晴らしいものである」という文脈で語られることも多いですが、その一方で、そう言い切ることが難しく思えてしまうようなデメリットも多いということです。
個人的な意見を述べるのであれば、「現段階ではエネルギー密度の低い技術である」ということがとても気になっていますし、ポリシリコンのマーケットシェアなどを見ていても、手放しで「素晴らしいものだ!!」と言い切ることはとてもじゃないけどできません。
一応言っておくと、僕は現代のソーラーパワー利用法に全開で否定的な思いを持っている訳ではありません。
現時点での認識は、「可能性もあるのだろうけれど、持続可能な手法やエネルギーとはまだまだ程遠いもので、見方によっては破壊的な側面もあるだろう」という感じです。
サイエンスが社会の問題を次々と解決していってくれるかのようなイメージってついつい持ってしまいがちですが、実際はそんな簡単なものでもありませんよね。
僕の持っているサイエンスのイメージは、「問題を解決してくれるという側面よりも、謎探しゲームみたいな側面の方が遥かに強い」という感じです。
「私たちの住んでいる世界の制約や謎を明らかにし、その理解できた制約や謎の中で、現時点で人がどう立ち回っていくことが環境や社会にとってより良いものなのか?」というようなことを考えていく、普遍的な正解のない永遠クイズみたいなものだと思いますから、全てを知った気になったり分かった気になったりして、「これこそが恒久的に良いものである!!」と言って人が行動することに、あまり良いことはないように思っています。
自然も社会も、生態系の必然性の中だけでしか変わらないものだと思いますしね。
散らかったので、まとめると、今回お伝えしたかったことは、「太陽の力は偉大だし、なくては人は生きていけないけれど、それを利用した人間社会の技術が、必ずしも「優しい手段」となる訳でもないのだろう」、ということです。
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