少量多品目型、キャベツ周年栽培
立春~雨水の間辺りでキャベツ採り始めたいと思って作付け計画を練っていましたが、どうやら計画通りにいけそうです。
今時期は畑から青物が消え行く一方のハラハラドキドキな季節ですから、キャベツが締まって来はじめるなんていうのは、畑ストーリーに「ほっと一息のワンシーン」が加わったようなものです。
畑にはインタラクティブなエンタメみたいな一面があります。
さて、今日は少量多品目型のキャベツの周年栽培についての記事を書こうと思います。
キャベツって冷涼な気候が大好きな生物ですので、育てられる時期が限られているのかと思いきや、品種開発技術の発展のお陰様もあり、温暖地であれば、品種をうまく選択することで露地でも1年中収穫できるお野菜です。
もちろん、育てる季節によって管理方法は変わってきますし、「有機で」みたいなルールを設定するのであれば、使用する資材もその時々で変わってきます。
(これは人によって様々なのですが、うちの場合だと、夏は防虫ネットを使う とか、早春植えは地温確保のためにマルチを使う とかです。(詳しい理由は下記参照) )
何しろキャベツは虫が本当につきやすいですからね。 (「生存戦略の一つとして、あえて虫を呼び寄せている…」みたいな見方をされることもあるみたいですが、「それ本当かな〜??」と少し懐疑的(笑))
ただ、虫がつくとはいえ、その抵抗性も物凄く強い野菜ですし、今までの経験則から、多少虫がついてもなんとかなることも多いと感じています。
(ここでいう抵抗性とは、キャベツは揮発性物質(病原菌や虫を寄せ付けないために植物が出す化学物質)の生成能力が高いと言われたりしていることや、ジャスモン酸などのホルモン様物質の働きによる「群れでの抵抗性獲得(傷つけられた個体が放つ臭いで近くにいる個体が抵抗性を持つ)」みたいなやつのことを指しています。)
※ジャスモン酸って??
と気になった方は、下記のジャスモン酸経路についての参考サイトもご覧ください。(https://agrinoki.com/archives/1018))
と、そんなに強いキャベツだからとはいえ、いくら食べられても大丈夫という訳ではなく、うちのような、少肥&不耕起型の栽培方法では、基本的に生育が遅いことが多いということもあり、生育初期に大幅に食べられてしまったりすると、冬採りの型などは結球できずに終わってしまったりすることも全然ありますので、うちは春夏植え型に関しては基本防虫ネットをかけるようにしています。
それと、上記の「地温確保のためのマルチの使用」についてですが、早春植えつけ型に関しては、収穫を暑い時期まで引っ張りたくないので、(病気になりやすい、玉の劣化が激しい、割れるなど、気になることが多い)マルチを使用して地温を確保し、早め(5月~梅雨前くらいまで)に収穫できるように作付けするようにしています。
その気になれば、梅雨~9月の頭くらいまでの間に収穫するスケジュールのものも育てることができるのですが、その期間は畑に置いておける時間も短いですし、美味しさ的にも管理的な手間を考えても、うちにはあまり利点がないと思っていますので「その時期は無理に育てることはないだろう」という考えに至っています。
この流れで、秋植え、早春どりの型についての考えも記述しておきます。
この型は、防虫の必要もないし、草管理の必要もないので、使用する道具や手間が少ないという大きなメリットがあります。(有機農業に限っては特に)
一度植えてしまえば、収穫まで大して管理要らずということを考えると、一番楽ちんな型だろうと思います。
ただ、植えてから収穫までに時間がかかってしまうシーズンですから、畑スペースの回転率や効率化という点で見てしまうと、デメリットになってしまう所もあるでしょう。
このあたりは、「どういう売り方、作り方をしているか」という所でも良し悪しは変わってくると思いますので、人ぞれぞれで捉え方が大きく変わるものなのだろうと思います。
一気に収穫してまとめて市場に持っていくような単作大量生産型の手法と、少量多品目のセット販売を目的にしたパッチワーク型の栽培手法を比較したら、畝の利用効率や回転させられる規模感も大きく変わったりしますしね。
うちの場合は、野菜の詰め合わせのセット販売を経営の軸にしている小規模農家ということもあり、キャベツのような「育てられる期間の適応幅が広い野菜」は、なるべく多くの季節で収穫したい野菜の一つですから、上記のように、季節に応じた計画を練って作付けをするようにしています。
「資材を使用せず、手のかからない方法」ということで選ぶので言えば、秋植えの型だけに絞りたい所なのですが、僕はその部分を重要な目的にしていないのでそういう計画にはしていないという感じです。
手法は目的にはならないということですね。