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密植栽培と知識の呪縛とコミュニケーションと。



カブがぎゅうぎゅうになってきました。


密に詰まっていても、それぞれがそれぞれでスペースを確保しながら、しっかりと太ってゆく姿を見ていると、なんとも言えない愛らしさを感じます。


また、こっちの勝手な想像でしかありませんが、体を温めることを目的とした、”おしくらまんじゅう” のような効果が見込めるのではないかとも思えてきて、「冬作はあえて密植型にしたほうが良いのではないか??」などと考えてしまいます(笑)



その蓋然性のあるなしを確かめようと「植物や野菜の呼吸量や代謝による発熱量」というような、実験、参考データがどこかに転がっていないかと探してみましたが、さっと見た感じだけでは、それらしきものを見つけることはできませんでした。



ただ、冷静に考えてみれば、株間をしっかり確保できていた方が、日照による体温上昇量が高いことは明白でしょうし、その日照効果を超えるような熱を野菜が呼吸によって放出するとも思えませんので、野菜を温めるという文脈だけで考えると、密植が効果的に働くとはいえなそうな気がしています。


(熱が空気中に放出されづらい構造を作る、ビニールトンネル、ベタがけ資材を使う時期であれば、密植か粗植かで内部温度の維持力が大きく変わったりするでしょうけれど。)



ここの所、密植栽培のメリットを取り上げた記事をちょいちょい書いていますが、最近、「うちのやっていた密植栽培を試みたことにより、かえってうまくいかなかった」というようなお話を人から聞かせてもらい、「あ~っ、自分は、デメリットが沢山あることも大前提で考えられるような伝え方ができていないな…」と思いました。


蒸れ、生育不揃い、通気性の低さ、病気リスク、などなど、密植することによるリスクはめちゃくちゃ多い筈なのに…。



また、「密植を前提として栽培するならば、環境適正を見極め、なるべく小葉系や葉が横に広がりづらい品種選んだりして工夫することが必要である」ということも含めて、お伝えできればより良かったんだろうな〜とも思いました。




自分が良いなと思っていることを人に伝える時に、つい、受け手にとっても良いものとして捉えてもらえるような言い回しにしてしまったり、「自分ができたのだから、おそらく誰でもできるだろう」というような、生存バイアスみたいなものが知らず知らずのうちに発動されているのかも……


と、己の客観的認知能力と情報伝達力の低さを感じています。



考えてみると、僕はこういうことがよくあるような気がします。



遡って考えてみると、勉強すればするほど、知識を得れば得るほど、人への説明が難しくなることが感じることが多いというかなんというか、知識の呪縛みたいなものに囚えられたような感覚に陥ることがよくあるような気がします。


「得た情報が多ければ多いほど、自分の発している情報を俯瞰して見れなくなる」というような感じですかね。


これは、「自分が伝えようとしていることに対し、受け手がそれについてどこまで知っていて、それが自分の中の当たり前とどの程度違うものなのか??」 ということを、受け手の解釈の違いも含めた差分を考えながら、「伝える内容をどう組み立てていこうか??」と考えることにより、情報が複雑化してしまうことによって生じる感覚なのだろうと思っています。


おそらく、自分の頭の整理整頓が全然追いついていないのだろうと思います。



僕は、「自分の発言によって、人が自分のことをどう思うか??」なんてことはあまり気にしないタイプの人間ですが、自分の伝えようとしていることの本質や要点をちゃんとお伝えした上で、受け手に解釈ステージに立ってほしいなと思っていますので、上記のようなことがなるべくないようにできたら良いなと考えています。


歴史を見ていると、ディスコミュニケーションから起こる悲劇や争いがめちゃくちゃ多いので、余計にそう思います。



現代は、誰でも外に自分の気持ちを発することができる時代だからこそ、あらゆる人間関係の中で、受け手と出し手が相互に理解していないことを前提にコミュニケーションしていくことが、これからの時代をより良く生きる為にとても大切なスキルなのだろうと思います。 「理解していないことを理解して、理解しようと努める」ってやつですね。

今回のことで、「己の伝達方法、他者からの情報の理解度」を改めて客観的に考えたいなと思いました。


日々、色々な教えがあって豊かさを感じています。



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■人の力と少しの道具で成り立つ、シンプル&ミニマムな農業をモットーに、農園を営んでおります。

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