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有機農業で生分解性マルチが公に使えないことに対する違和感。






ご存知の方も多いと思いますが、有機農業では生分解性プラスチック素材のビニールマルチは使えないことになっています。(JAS法上)


理由は、製造工程において「化学物質、化学的処理をされたものであるから」です。

「化学物質、化学的処理とは?」という部分に関しての理解を深めたくて、先日、農水省に問い合わせてみましたが、残念ながら具体的な回答を得ることはできませんでした。

頭の中の気持ち悪さは未だに解消されていませんが、「化学物質、化学的処理をされたものを土壌へすき込み取り除かない」という点が、制度上、非常に重要な部分なのであろうということだけはよく理解できました。


土壌パラメータが変化するのには何年もかかることが多いと思いますので、「長期的な効果、影響がどうなるのか??」と、慎重になる気持ちも分からないでもありませんが、「よりクリーンで、環境負荷の少ない社会を目指す上でのバイオ技術としての生分解性の推進」というものが国策として明示されていたり、「生分解性プラは、よりエコロジカルである」という社会的認知もされてきている中で、公の有機農業認証的には使用することができないというのは若干の違和感を覚えます。



また、日本バイオプラスチック協会のQ&A中で、「将来的な土中蓄積リスクはないか?」という質問に対し、「全くない」と答えられていたりするのも、余計に僕をモヤモヤとさせます。



世の中には、僕のように有機JAS認証自体を取得しておらず、公には有機農家と名乗れない「自称有機農家」or「有機農家として知られている人」という層もそれなりにいて、そういう方々の中では、積極的に生分解性マルチを使用している人もいます。



その部分の是非は置いておいて、その制度の曖昧さに、正直「有機農業ってそんなんでいいのかな〜???」とよく思ったりします。



外から見れば同じ有機農家ということに変わりはありませんが、同じ有機農家でも「農業をする上で、使えるものを自分で設定できる非認証の人と、公機関の設定した制約の中で農業をしなければならない認証を取得している人」という2タイプが存在しているのは、どう考えても妙な構造だと思います。



なかなか難しそうではありますが、一つの概念がバラバラに存在しないように、定義を整え直すことはできないものでしょうかね〜。



こういった部分でも「有機農業」というジャンルの定義の曖昧さや複雑性を感じさせられます。



話が逸れましたが、この件に関しては(生分解性プラマルチ)、僕は自分の使用するしないはさておき、生分解性プラ肯定派ですので、是非、有機農業でも使えるようになってほしいなと思っています。


また、公に使用することができるであれば、JAS認証をとっている農家で嬉しい方もそれなりにいるのではないでしょうか?? それと、非認証の人でも「JASで許されていないから使いたいけれど使えない」という人もおそらくいるのでは??と思っていますが、そもそも有機農家自体が少ないので、僕の思っているほどいなかったりして(笑)



ちなみに、JAS法上、蚊取り線香(化学合成されたものに限り)も使用が認められていなかったりしますが、果たしてそれが、環境保全を図る全体論的な生産管理システムを作る上で大きな妨げになるのかどうかは僕にはよく分かりません。



■そういえば以前、「畑で無限に出てくる刈り草などの資源を3Dプリンターでマルチ化できないのかな??」と思って、製造メーカ何社かに問い合わせしたことがありますが、あまりしっかり取り合ってもらえませんでした(笑)



畑の原料でマルチフィルムをプリンティングできたらどんなに嬉しいことでしょうか。と思うのですが、今の所、非現実的みたいですし、需要がピンポイントすぎて研究対象にもならないか‥。


でも「もしかしたら…」と思ったことはどんどん聞いちゃいます(笑)




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