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おいしい野菜はどうやってできる??



今日の記事テーマは、「栽培方法によって変化するおいしさのメカニズムを考える」です。

前回のBlog(有機、オーガニックって何だろ??)を書く際、有機農業の歴史を振り返るため、手持ちの参考文書を色々と見返したのですが、その中で、有機農産物=おいしさの秘訣 というような文脈で語られている資料がやたらと目についたことから、今回の記事を書こうと思いました。


 「おいしさ」 というやつには、絶対値がある訳でもありませんし、その評価基準も千差万別であることから、何をもってして美味しいとするか?? という根源的な定義の部分のことから考え出そうとしてしまうと、僕なんぞには到底追い切れそうもないので、今回は、「素材そのものの味の深みや濃厚度合い」 のみに焦点を当てて、美味しさというものを考えていこうと思っています。


野菜の味の濃さ という尺度で素材の美味しさを考えた時に、世の中には、有機農産物の方が美味しくて味が濃い というような見解もあるということを思い出しますが、それに関しては、僕は決してそんなことはないと思いますし、それは一概には言えないことなのだろうと思っています。


(個人的には、有機農産物の方が美味しいものであって欲しいという願望のようなものを持ってはいますが、残念ながら、必ずしもそうではないという事実がありますし、おいしいは人によっても価値基準が違うものですので、強く断定できるものでなかったり、そうであると決めきれるものではないと思います。)


ただ、僕の浅い経験則からの私的見地でしかありませんが、どちらかというと有機農産物の方が、素材そのものの味の深みや濃厚度合い をより良く高められる可能性があるのではなかろうかと考えています。





■おいしさのメカニズムを高い熱量で考えたい。





農産物の美味しさについて の人々の意見をざっくり見渡してみると、



上記の、有機農産物だと美味しい の他にも



・無肥料だと美味しい


・堆肥を使っていると美味しい


・微生物が沢山いると美味しい


・土がよくなっていると美味しい



などなど、ふんわりざっくり系の情報と出会う機会も数多くあります。

それ自体は何の問題もないと思っているのですが、それらは何を根拠にそう考えられているのか?? という根本的な部分に触れられている仮説や情報が意外と少なかったりするので、「知的欲求が満たされないな〜」と思ってしまうこともしばしば。



こういうのも、今まで語らせてもらってきた環境問題や有機のことと同じで、その現象における影響因子を勘案できているかというとそうではないものも多いのではないかと思っています。


ただ単に、僕が上手く情報を取得、処理できていないだけなのかもしれませんけれど…




また、こういうのは感覚的なものですし、複雑なことですので、正しく理解することは難しいことでしょうし、正しい美味しさなんてものを考えること自体が、そもそもナンセンスなのかもしれないですけれど。


しかし、この手のことも「曖昧なものだから…」ということでざっくりと片付けてしまいたくはない話ですし、おいしさ(上記の定義上の)が生まれるメカニズムについての理解を僕自身が深めることは、僕や僕のお野菜を食べてくださっている方の喜びにもつながる可能性もあることですから、高い熱量で知恵を取りに行きたいと思いますし、学びをもっともっと深めたいなと思っています。


また、僕は理屈っぽい所があるので、そもそもこういうのが気になって仕方がないんですよね(笑)


何が言いたいかというと、どうあったら、多くの人が美味しいと感じられる野菜が作れるのかを知りたいという欲求があるということですね。





そんなことから、今日は僕が今まで見てきた情報の中で、「全ては理解できはしないけれど、何となく腑に落ちるな~」と思えた解釈を提供してくださっている先生の見解を紹介したいと思います。



まずは、NPO法人、あしたを拓く有機農業塾代表理事の涌井義郎先生の見解から。


「味を濃くする栽培方法」

やや厳しい環境で育て、生育スピードを遅くする方法です。
植物は、環境から一定のストレスを受けると生育スピードが遅くなり、環境に対する抗ストレス物質をつくり出します。(細胞液を濃くする糖やアミノ酸、有機酸、辛みや苦味成分、種々の抗酸化物質など)。
したがって、強い光(紫外線)、適度な低温、風や動物の接触など物理的な刺激、土壌水分が不足ぎみになる、作物栄養の溶け出し方が緩慢になるなど、軽いストレス条件は作物体内にさまざまな成分をつくり出すことになります。
厳しい環境に耐えるために体内液を濃くし、甘みやうま味成分のほか、野菜種によっては辛・酸・苦・渋などの成分も増します。
同時にかたさも増す可能性があるので、食感も変わります。


次に、北海道大学農学博士 松中照夫先生の見解。





「窒素吸収量の少ないトマトが美味しい」

植物は、根から吸収した窒素から自分の体のタンパク質をつくる。そのタンパク質を合成するための原料には炭水化物を必要とする。
このタンパク質の原料となる炭水化物は、植物自身が光合成でつくったデンプンが、呼吸によって分解された物質に由来する。
したがって、窒素を多く吸収したトマトは、タンパク質をたくさん合成するために炭水化物を多く消費する。

一方、窒素の吸収が少ないトマトは、タンパク質の合成量が少ない。そのため、炭水化物の消費量も少ないので、体内に残る炭水化物の量が多くなる。
この残った炭水化物がうま味のもと、すなわち糖分やビタミンCなどになるため、窒素吸収量の少ないトマトは甘くて美味しい。





以上、2つの見解を見ると、栄養的にも環境的にも、なるべく厳しい条件で育てた方が、おいしさ(味の濃さ)の値は上がっていく可能性がある。と考えることができるようになってきます。


ストレスの少ない環境で育ててあげたいという気持ちや、窒素を多く与えて生産量を増やしたいという欲求の発動量に反比例して、糖分やビタミン、その他、種々のうまみ成分は低下する可能性がある という上記のような説は、我が家の不耕起土壌、極少肥で生み出されたお野菜たちと長年触れ合ってきたという僕の経験則からも、一定の説得力があるように感じています。