エンドウの連作
絹さや、間もなく収穫期です。
今年は未だかつてない程に生育が順調です。
絹さやは、6年くらい同じ場所で育てていたのですが、今年は久しぶりに場所を変えて育てています。
なぜそんなに長い間、同じ場所で育てていたのかというと、「絹さやって、連作する程に調子がよくなるのではないか??」と思ってしまうくらいに好調な年が続き、4年くらい収量が右肩上がりで推移していたということが一番の理由です。
しかし、2年前くらい前を分水嶺として生育パフォーマンスが急下降してしまい、急激に採れなくなってしまったことから、今年は場所を変えてみようと思ったという訳です。
土の中の養分の動きって、作物自身が土壌中のイオンの中から必要な養分を選択して吸収(選択的養分吸収)することが基本でしょうから、やはり長く連作し過ぎると土壌の養分バランスも崩れやすくなってしまうのだろうと考えています。
もちろんものにもよるとは思いますし、一概にはいえないと思いますが、「自然の緩やかな養分製造機能に頼って作物を育てているのであれば、なおさらそうなのかもしれない」と、考えを巡らせています。
ちなみに、エンドウ類は基本的に連作はあまり好ましくないと言われているお野菜ですが、上記の例のように、必ずしもそうとは言い切れない部分もあリそうです。
「エンドウの連作」で調べてみると様々な情報が出てきますが、自分の実経験からの結果を最も有力な考察の参考材料としたいと思っています。
ということで、僕は「エンドウの連作は、一般的に言われている程には問題にならないこともあり、土壌の状態によっては、かえって連作するほどによくなるケースもある」と考えています。
もちろん、土壌によっては2年目ですぐにうまくいかなくなることもあるでしょうし、僕の上昇トレンド期間であった4年を超えて、5~6年と同じ場所で実りをしっかり得られるような土壌もあることでしょう。
ここで最も大切なことは、「必要な養分を適度なバランスでどれくらいの期間摂取し続けることができるか??」ということと、「土壌養分の収支バランスがどう推移しているのか??」ということだろうと思いますが、その複雑なメカニズムを明らかにすることは容易ではなさそうですよね…。
そこには、微生物が必要な養分を運んできてくれたり、微生物自体がエネルギーに置き換わって生育を助けてくれることもあるでしょう。
または、タネの自家採種を繰り返すことで、その土地に適した作物に変化していくこともあるのかもしれませんし、撹乱の度合いやそれに伴う生物層の変化などによってもその結果が変わってくることでしょう。
気候によっても土質は変化することを考えると、いつまでたっても納得のいく答えに辿り着けそうにありません…。
キリがなさそうですのでスパッと頭を切り替えて「少しづつ科学的にも明らかになってきている部分があるとはいえ、土壌の仕組みと植物の関係性にはまだまだ謎の方が遥かに多いということなのだろう」と、思うようにします。
生物や植物、環境全般の謎は、いつの時代だって人々を夢中にさせてくれますね。
■タネ採りについての個人的な考え
先に述べた「タネとりを続けることでの遺伝形質の継承」のようなお話に関しては、よく質問を受けたりもしますが、個人的には「理屈はわからないでもありませんが少し引いて見ていたい」という感情を覚えています。
それは、以前に書いたエンドウ豆の記事で述べた「自家採種してもしなくても、そもそもの土質のバランスが良ければ、生育の優劣なんてたいして気にならないのかもしれない」という考察をした時から変わりありません。
(下記、記事リンク)
遺伝形質の継承による効果やその確実性なんて、そもそもそんなにすぐに分かるものではないと思いますし、どうしても斜め読みしてしまうポイントもありますが、その一方で、「タネとりをして世代をつないでいく」というその行為自体はとても魅力的だと思いますし、合理性や生産性だけでは計ることのできない価値があると思っています。
「タネは採った方が良いのでしょうか??」という質問に対しての栽培的な利点追求の視点からみた解は僕にはよく分かりませんが、タネを採ってつないでいくことが自分にとっては物凄く楽しめることだということは自分でよく理解しています。
タネのことって、社会の為とか産業の為とか環境の為のような文脈で語られることもありますが、僕は、ライツを踏み潰さない範囲内でそれを楽しめる人たちがそれぞれで楽しむということだけで十分なような気がしています。
そういう個人個人の小さな取り組みの中だったとしても、残るべきものは残り続けていくと思いますしね。
また、大きな枠組みで考えれば、人類全体の食を支えていくようなタネに関しては、ドカッと効率よく生産できる技術を持った企業が、生産、供給をした方が良いだろうと個人的には思っています。
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